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嘉咲視点
デートがしたい。
ただヨウとデートがしたい。
最近ヨウの姿を見ていない。
話によると学校が忙しいとかそんな感じ。
毎日、毎日自分のことをストーカーしてた相手が急にいなくなると案外寂しいものだった。
「はぁ~、早くヨウ会いに来てくれないかな~」
~3週間後~
「おっお久しぶりです……惇さん。」
少し申し訳なさそうにヨウが俺の目の前に現れた。
なんでこの人はいつも音沙汰もなく現れるのだろう……。
「あぁ、うん。久しぶり」
「あの、ここ最近忙しくて惇さんに会えてなかったですよね……」
「うん、そうだな。」
「それで、俺惇さんに会えなくてものすごくストレスが溜まってるんですよ……」
正直驚いた。
ヨウはいつもニコニコしているイメージがあったからストレスなんてないのだと思ってた。
まぁ、彼も人間なんだからあるのは当たり前か……。
「だから、その、俺、惇さんにお願いしたいことがあって……」
「……?」
お願い……?あまり、難しいものなら無理だができる限り聞いてあげたい。
ストレス溜まってるって言ってるし。
「内容にもよるけど、お願いって?」
「あ、はい!」
「俺、めちゃくちゃ惇さんのこと甘やかしたいみたいな状態になってて……」
「その、俺に何かしてほしいこととかあったら教えてほしいな……みたいな……」
……!!それは、お願いに入るのか?
なんでこの人は俺のこと中心に世界が回ってるんだろう。普通、ストレスが溜まってる状態で人になにかしてあげたいってなるか?
「ヨウはずるいな……うん、すごくずるい」
「えっ?!やっぱりこんなお願い気に触りすよね……」
「いや、別に気に触った訳ではないんだよ」
「え、じゃあなんで」
「なんか、そう言いたくなった。だめ?」
目の前にいるヨウがどう返答すればいいかわからなくて困ってる。
ずるいのはどっちだよ…。
「全然ダメじゃないです。ていうかかわいいです。」
「あぁもう惇さん可愛い。甘やかしてぇ~」
最後の方は小声だったけど聞こえてしまった。
まずい、これはなかなかくるものがあるな。
「なぁ、ヨウさっきのお願いなんだけど……」
「あっ!はい!!なんですか?!」
「本当になんでもしてくれる?」
「はい!なんでもしますよ!!」
「じゃあデートしよう。普通の恋人みたいなやつ。してくれる?」
「デートですか……」
驚いてる。俺がこんなこと言わないって思ってたからかな?
普段の俺だったら言わないと思うけど今の俺はずるいからね。
ふふっ、また困ってる。もっともっと困ってほしい。俺のことだけ考えてほしい。
会えなかった分くらいヨウのこと困らせたって罰当たりにはならないからな。
「惇さんがそうしたいんなら俺はそうしますよ!だってそれが俺のお願いですしね……!」
「さぁ!デートしましょう!!いつがいいですか?!!」
「今からかな。」
「わかりました!今からしましょう!……えっ!?今から?!」
「うん、今から。だめ?お願い聞いてくれるんじゃないの?」
「いや、心の準備が……」
「聞いてくれないの?」
「聞きます!!します!!しますよ!!」
「あ、じゃあもう1個お願い追加していい?」
「ふぇ?なっなんですか」
「キスして」
ヨウはちょっと固まった。
でも、してくれた。恋人がするみたいなやつ。
“これでいいですか?”って言われたけど十分すぎるなぁ……ばか。